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 小塚 郁也

筆者が足立区や世田谷区で恵まれない子供たちへの学習支援ボランティアに参加している理由は、いわゆる「貧困の世代間連鎖」を断ち切るためである。ところが、その大前提である我が国における「貧困の世代間連鎖」については、マスメディアによって最近声高に叫ばれているものの、その実態はそれ程はっきりしていない。何しろ、我が国での社会学や教育学(教育社会学)での従来の研究成果では、信頼できる政府等公的機関による統計データの不備もあって、所得の世代間連鎖に関する実証的な研究成果の積み上げが今なお不十分な状態であるからだ。

中学生や小学生に勉強を教えていると、英語と数学に苦手意識を抱いている子供が多いことに加えて、社会科も苦手としている生徒が同程度に多いことに気が付く。特に相対的に貧しい家庭の中学生の定期試験での得点力に、この点に関する顕著な結果が現れるようだ。

7月8日、筆者は世田谷区のある私立高校に招かれて高校1年生に対するキャリア授業を実施してきた。その学校は、進学研究会が行っている「Vもぎ」という都内で最も標準的な高校入試模擬試験の昨年度80パーセント偏差値でいうと60から65の間に位置する男女共学の中高一貫併設型高校で、筆者が普段足立区で接している中学生たちの志望校とは学力垂直ランキング構造での位置づけが全く異なる区内上位高校の1つである。

先週足立区の学習会でOGの女子高校生から、次のような質問を受けたのが筆者には非常に印象的であった。すなわち、彼女の疑問は、「芥川龍之介の小説「羅生門」は、なぜ「羅城門」と(歴史上正確な)名称を付けなかったのか」という内容であった。

筆者がボランティアで教えている中学生の学力について考察してみると、家庭の事情や不登校のためか中学3年生の段階に至っても十分な学力を身につけていないケースが多々見られる。

小塚 郁也 | 2017 | Salam !
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