日本社会の格差と「貧困の世代間連鎖」に関する考察
筆者が足立区や世田谷区で恵まれない子供たちへの学習支援ボランティアに参加している理由は、いわゆる「貧困の世代間連鎖」を断ち切るためである。ところが、その大前提である我が国における「貧困の世代間連鎖」については、マスメディアによって最近声高に叫ばれているものの、その実態はそれ程はっきりしていない。何しろ、我が国での社会学や教育学(教育社会学)での従来の研究成果では、信頼できる政府等公的機関による統計データの不備もあって、所得の世代間連鎖に関する実証的な研究成果の積み上げが今なお不十分な状態であるからだ。